山を知る

林業とトレイルランニング - 林業就業相談会にお邪魔してきた

2019年9月29日

ロードと比較したトレイルランニングの良さって、自然を味わえること。

日本のトレランコースは2,000m以下のやや低めが多いので森林の中を走ることが多いですよね。

土や木の匂いを嗅ぎながら走るのが個人的には気持ちいい。
また、スギ、ケヤキ、ヒノキ、カラマツ、モミ、ブナなどなど、レースの開催地によって木の種類が違うと走る景色が変わって面白い。

日本は世界有数の森林大国。
知ってました?国土の7割は森林だそうです。
森林率はフィンランド、スウェーデンについでなんと第3位(森林・林業学習館より)。

これだけの森林をメンテナンスしている人は誰だろう?と興味を持っていました。そして、先日、長野県の「林業就業相談会」にお邪魔して林業の現場を見学へ。

自分で調べたものも含め、今回は違った観点で山について記事を書きました。

林業って何?必要性は?

森林を育てて活かす仕事です。

木を植え、育て、切り取るまで一連の作業があります。
地ごしらえ、植付け、下刈り、つる切り、除伐、枝打ち、間伐など(緑の雇用サイトより)

林業業界は人手不足で大変な状況ですが、初心者・未経験者をサポートする体制は整っています

戦後の復興で木材需要が増えた際、木を切りすぎて禿山になった時期がありました。
国はこれではまずいと未来の環境を守るために、植林に投資したのです。

投資した木々が成長し、今、まさに切るべき時期になっています。

しかし、切る人が足りないのです。

間伐しないとどうなるか?
混みすぎた森林ではどの木も十分に成長することが出来なくなります。

それにより

問題点

  • 二酸化酸素を十分に吸収し酸素を産み出せない。地球温暖化防止の観点で問題。
  • 林内が暗くなることで森林内の生態系が崩れる
  • 雨が降った場合に土砂崩れなど防ぐことが出来ず、自然災害を招く

トレランで森林の中を走っていると細い木ばかりが密集した場所を見たことありませんか?間伐出来ていない地域です。

間伐が必要な人工林が多い

間伐が必要な人工林が多い

高齢化、新規参入者の減少で林業に携わる人が減っています。

*平成20、21年に新規参入者が激増してますが、リーマンショックがあった影響で不景気⇛求人に対して大量の申込者がいたそうです。

林業従事者および新規参入者の推移

林業従事者および新規参入者の推移(信州の山づくりより)

国は平成15年度より、林業の新規就業者対策として「緑の雇用」事業を開始しました。

1人前になるのに3〜5年かかると言われている林業業界で、一人前になるまでの講習や研修を国が支援してくれるそうです。
そして彼ら・彼女らを受け入れる事業者にも助成金が出るのです。

平成27年度の国勢調査によると、林業従事者は約4万5千人。試算では、このうち約9千人が「緑の雇用」を通じ林業の担い手になったそうです(全体の2割)。しかし、それでも従事者は林業の求人数に対して全然足りないとのこと。

「緑の雇用」新規就業者育成推進事業

「緑の雇用」新規就業者育成推進事業(クリックで拡大します)

現実問題、林業はビジネスとしての旨味が少ない

林業の仕事の意義・必要性は十分だとしても、現実問題、生きていくためには、家族を養うためには最低限の給与を貰う必要があります。

正直、林業はビジネスとして大きく儲からないのです。

林業の平均年収の範囲はおよそ330~440万円(平均年収.jpより)

林業の年収は低いのです。
なぜそうなるか?

以下は長野県の北信木材センター(木材市場)でいただいた資料です。

各樹種の取扱実績と販売単価が書かれています。右端を見てください(4.0×直径φ20)のところ。木1本あたりの平均単価です。

杉を1本切って、売上がたったの1,243円です。

30〜40年育てて、たったこれだけです。

樹種別単価

木材市場の樹種別単価

木材価格の推移が林野庁のサイトで確認できます。
1960年から1980年まで右肩上がりに増加していた単価が右肩下がりへ。

原因

  • 住宅建築での樹木の需要が大きく減少。
    鉄筋でというのはもちろんなんですが、木で建てるにしても、エンドユーザーは「見える部分以外は安い合板(安価な不良木材で作ったもの)で良い」という考えの方が多いそうです。
  • 海外からの輸入木材(外材)との価格競争で値が下がる。
    聞いた話では戦後の木材不足で輸入に関税がかかっておらず(最初から貿易自由化)、農家と異なり林業は守られていない状態だそうです。

なぜ外材のほうが安いのか?人件費が安いから?否、日本は成長していません。昔ほど他国と比べて人件費が高いわけではなくなりました・・・悲しい。

日本の地形に理由があるそうです。日本の山は急斜面が多く、そこに木が生えています。一方、海外では広大な平地に木が生えています。つまり、彼らは木を容易に切ることができるのです。そして大量に運ぶのも容易です。生産力・運搬力の違いが価格に表れているということです。

このように今の林業は大きく儲けられる構造になっていないのです。

そりゃぁ、林業業界の年収も低くなります・・・。

林業の現場を見てきた

林業の現場:木を切る・集積する

チェンソーを使って木を切るフォレストワーカー

チェンソーを使って木を切るフォレストワーカー

チェンソーで切った木材を集積する。

タワーヤーダ

タワーヤーダ

集材した木材の枝払い、測尺と玉切り(一定の長さで切る)。
自分の腕のように器用に枝を削り、木を何分割かに切断していました。

プロセッサ(造材機)

プロセッサ(造材機)

切った木材を荷台に載せて運びます。
これはチェコ製で2,000〜3,000万円するそうです。

フォワーダ(積載式集材車両)

フォワーダ(積載式集材車両)

生産性を上げるため、高性能な林業機械を導入しているそうです。

それでも平地の木を切っている海外勢と比べて生産性では負けるそう。

ただ、森の中で働けるって素敵だなと思いました。キレイな空気を吸って見学しているだけで気持ちよくなる。

林業業界は木材を売るだけでない、+αで取り組む事業者も

見学させていただいた木材事業者さんは「電力事業部」を持っていました。

市場で売れない不良木材や加工時のゴミを活用してバイオマス発電をしていました。1年の発電量で7,700世帯の電力を提供できているそうです。

固定価格買取制度(FIT制度)で価格が保証されている時期で発電した分、儲かる時期ではありますが、彼らの売上の2/3はこの電力事業部によるものでした。

日経新聞の記事「バイオマス発電8割動かず 林業人手不足、燃料輸入頼み」にあるようにうまく発電事業を運営出来ていない事業者がほとんどです。

そんな中、彼らがビジネス出来ているのは既存事業と一気通貫で実施することで材料コストが削減できているからなんだろうなと思いました。

体力のない中小企業で2003年にこれを始めると意思決定出来た経営者は凄いです。

これからの林業業界、生き残る方法は何だろうか?

1日の見学ではまだまだ表面的なことしか見えていないと思います。

ただ、確実に言えるのは「林業業界は右肩下がりであり、森林を守る課題が依然ある」ということです。

「緑の雇用」で一時的に雇用者が確保出来たとしても、ビジネス的な旨味の無い業界のままでは年収は低くなり、雇用は維持出来ません

(勉強不足で間違っていたら申し訳ありませんが)最近流行っている「自伐型林業」、若者を中心に+他の仕事を組み合わせて暮らしている人たちが増えてます。これは林業単体でビジネスが成立できていない・難しいことを証明しているのではないでしょうか。

  • 上記に挙げたような+αの事業を見出し、生き残りを図る。
    水、ウィスキー作りなども木と美しい自然が必要。+α事業だと考えます。
  • お米のように輸入米との差別化を図る。高級材に商機を見出し、高級材ニーズのある中国などへの輸出も検討する。
  • 地価の高い平地で育ててもビジネスが成立する「異常なほど成長が早い木」を発明する
    ←というぐらいのイノベーションがあっても良いと思う。

第一次産業では農業も漁業もITを組み合わせたスタートアップ企業がどんどん立ち上がってます。

一方、林業はどうか?自分が見る限り、ほとんどありません。そこに解決策があるのかもしれません。
なんか、林業でビジネス出来ないかなぁと目論んでいるへっぽこトレイルランナーの私です。

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